タンパク質間相互作用の解析
- FG beadsの分離方法(磁気分離と遠心分離)を教えてください。
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バックグラウンドを抑える(非特異的な吸着を少なくする)ために、固定化やスクリーニングの実験では以下の注意が必要です。
リガンド固定化時
遠心分離を行う。
FG beadsはナノサイズのため分散性が高くなっています。そのため、有機溶媒中では磁気分離が困難なので、遠心分離でFG beadsを回収する必要があります。
アフィニティ精製時(スクリーニング)
磁気分離を行う。
遠心分離を行うと重いタンパク質や不溶性のタンパク質も一緒に沈殿してしまい、バックグラウンドが高くなってしまいます。FG beadsは分散性が高いため磁気分離に時間がかかりますが(5分以上必要とする場合もあります)、磁気分離を行うことでこれらの不純物混入のリスクを回避することができ、バックグラウンドが低いきれいな結果を得ることができます。
- FG beadsの分散方法(超音波法とガリガリ法)を教えてください。
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バックグラウンドを抑える(非特異的な吸着を少なくする)ために、固定化やスクリーニングの実験では以下の注意が必要です。
リガンド固定化時
良く分散させる。
遠心分離を行うとFG beadsが強く凝集するので、分散させにくくなります。低分子化合物の固定化では、超音波分散機による分散(超音波ホモジナイザーまたは超音波洗浄器等を使用)、タンパク質の固定化ではガリガリ法での分散を推奨しています。ガリガリ法は、プラスチック製の試験管立てにマイクロチューブの底をあててガリガリと動かして分散させる方法です。ガリガリ法にて分散しにくい場合は、氷冷した超音波分散機で短時間で分散させてください。
ガリガリ法にて分散させる場合、マイクロチューブの種類によっては底が割れたり蓋の部分から漏れたりする場合があります。硬くて蓋がきつく閉まるマイクロチューブをお使いください。弊社ではキャップロックの使用を推奨しています。
アフィニティ精製時(スクリーニング)
良く分散させる。
タンパク質と結合反応後のFG beadsの洗浄操作で分散が不十分な場合、ビーズの塊の中に不純物が残る可能性があります。そのため、FG beadsをよく分散させる必要があります。FG beadsはガリガリ法で分散させます。
- リガンドをビーズに固定化するプロセスの概要を教えてください。
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NHS beadsにリガンドとして化合物を固定化する場合、 固定化反応は仕込濃度を4点(0, 0.1, 0.3, 1 mM)振り、最適濃度を検討します。リガンドの固定化量は、そのリガンドの性質によって異なります。 固定化量は、およそ数nmolから100nmol程度です。良い精製結果を得るためには、数nmolから数十nmolがよく、固定化量は多すぎると立体障害となります。その他のビーズを使用する方法については、各種プロトコールをご確認ください。
- どのぐらいのビーズの量が必要ですか?
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20mgのビーズでアフィニティ精製の条件検討2回分です。条件検討の後、さらに精製した標的タンパク質等をある程度の量を確保するためには約50mgのビーズが必要になります。
- アフィニティ精製したタンパク質の親和性はどのくらいですか?
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通常、アフィニティ精製したタンパク質のリガンドへの親和性は、解離定数(Kd)で10-6Mより強ければ結合タンパク質が精製できる可能性が高いです。親和性が低い場合、タンパク質が回収できなかったり、バックグラウンドが高くなる可能性があります。
- 精製効率はどのくらいですか?
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アフィニティの強いリガンドを用いた場合、当社の検討結果では精製効率はおよそ50%です。しかし、個々のリガンドの性質に負うところが大きく、状況に応じて異なります。
- タンパク質を固定化させる際に最適なビーズを教えてください。
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NHS beadsが最適です。タンパク質のリジン残基中のε-NH2基とビーズ表面のNHS基とで固定化します。His-tagタンパク質の場合は、Ts beadsへの固定化が可能です。
免疫沈降について:https://fgb.tamagawa-seiki.com/selection/immunoprecipitation
- タンパク質の固定化時、標的物質との結合に関与する部位にリジン残基がある場合はどうしたらよいですか?
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His-Tagまたはビオチンを導入し、部位選択的にTs beadsもしくはStreptavidin beads、NeutrAvidin beadsへ固定化します。
- タンパク質の固定化効率はどのくらいですか?
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タンパク質により異なりますが、タンパク質50μgをNHS beads1mgへ仕込み固定化を行うと、10~40μg程度が固定化されます。反応時間を長くしたり、仕込量を増加させることで、さらに固定化量を増やすことが可能です。
- 細胞破砕液の調製方法を教えてください。
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当社では、Dignam法を推奨しています。ただしDignam法は細胞量を必要とするため、少量で行う場合はNP-40等の界面活性剤で可溶化する方法を推奨しています。当社サイト内のプロトコールのページから401および402のプロトコールをご参照ください。
上記が困難な場合、市販のキット(ProteoExtract Subcellular Proteome Extraction Kit(MERCK MILLIPORE)、CelLytic M(SIGMA)、等)も使用可能です。但し、界面活性剤の濃度が1%以上の場合、アフィニティ精製中にリガンドが標的タンパク質に結合するのを妨げる可能性がありますので、使用前に透析や希釈により界面活性剤濃度を0.1%に下げてください。
- 細胞破砕液は冷凍ストック品でも問題ありませんか?
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細胞破砕液は冷凍ストック品でも問題ありません。ただし使用前に遠心分離を行い、不溶物質(変性タンパク質など)を取り除いてください。
- タンパク質の供給源はどのくらい必要になりますか?
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血清タンパク質、また培養細胞や組織の抽出物が適用可能です。培養細胞をタンパク質の供給源とする場合、核内タンパク質で109個程度、細胞質タンパク質で107〜109個が必要です。
- GPCRs やイオンチャンネルなどの膜タンパク質をアフィニティ精製することはできますか?
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不可能ではありませんが、GPCRsやイオンチャンネルをこの手法でアフィニティ精製することは容易ではありません。膜タンパク質を界面活性剤で可溶化することにより、アフィニティ精製できる場合もあります。
- バックグラウンドが多いです。どうしたら減りますか?
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FG beadsへのリガンドの固定化濃度やバッファ中の塩濃度、界面活性剤濃度を変化させて最適条件を検討する必要があります。アフィニティ精製時の分散を入念に行うことにより改善する場合もあります。使用前にタンパク質溶液を遠心分離し、不溶性画分を除いておくことも重要です。
またリガンド固定化時のマスキング不足ということも考えられますので、リガンドが固定化されていない官能基を適切にマスキングする必要があります。
- 結合タンパク質のバンドが数多く検出された場合はどうしますか?
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競合阻害実験、ドラッグエリューションを行い、そのリガンドに対して特異的なバンドかどうかを確認する必要があります。リガンド結合量を減らす、またはバッファーの組成を変えることにより特異性の高いタンパク質を絞り込むことも可能です。
また活性有無のリガンド固定化ビーズを使用することで、標的タンパク質を絞りやすくなります。
- 結合バッファは推奨バッファを用いる必要がありますか?
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HEPESの代わりにTBS、KClの代わりにNaClを使用しても問題ありません。
- 溶出の際に、塩溶出とボイル溶出を両方行っているのはなぜですか?
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ある程度弱い結合(塩の力で外れる結合)と強い結合(サンプルバッファ+加熱で外れる結合)を分けているためです。ボイル溶出のみを行って頂いても問題ありません。
- 結合タンパク質のバンドが全く見られないのですが?
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リガンド固定化量が少ない可能性がるため、固定化濃度を増やして検討してください。リガンドと標的タンパク質のアフィニティが弱いことも考えられるため、バッファの塩濃度を下げてみてください。
またタンパク質溶液中に標的タンパク質の存在量が少ない場合は、タンパク質溶液の濃度または液量を増やすことを検討する必要があるかもしれません。
- 抗体固定化後のビーズの分散性を向上させたいのですが、どうしたらよいですか?
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抗体やタンパク質を固定化すると、ビーズが沈殿しやすくなることがあります。使用前にビーズをよく分散させて使用頂ければ問題ありませんが、更に分散性を向上したい場合、保存バッファ中から塩を除くことで分散性が向上します。
- 質量分析(MS)で結合タンパク質を解析したいのですが標的タンパク質のバンドが薄い場合は、どうしたらよいですか?
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アフィニティ精製のスケールを上げる(例 2.5mg/1000μL)、または同じ条件で本数を増やしてアフィニティ精製を実施してください。
- どのくらいのタンパク質量があればMSで解析可能ですか?
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使用する装置の種類によりますが、50 ng程度のタンパク質量があれば解析可能です。