創薬研究において、生体内で薬剤(化合物)の標的となるタンパク質を分離・同定し、その機能を解析することは極めて重要です。しかし従来、薬剤の標的となるタンパク質の分離・同定は、多大な労力と時間が掛かることが問題となっていました。
この問題を克服するために開発されたのが、ナノ磁気ビーズの「FG beads(エフジービーズ)」です。
FG beadsは、複数の磁性体(フェライト)の周りをポリGMA(グリシジルメタクリレート)と呼ばれる特殊なポリマーで被覆した直径約0.2μmの磁気ビーズです。この独自技術により開発されたFG beadsは、従来の担体にはない優れた特徴を持つアフィニティ精製用の担体であり、ワンステップによるアフィニティ精製を可能にしました。
FG beadsを⽤いた標的タンパク質のアフィニティ精製は、結合・洗浄・溶出からなり、FG beadsと溶液は磁⽯を⽤いて分離します。
細胞破砕液にリガンドを固定化したFG beadsを投入して、リガンドに親和性のあるタンパク質を結合させます。
リガンドに非特異的に吸着したタンパク質を洗い流します。
特異的に結合したタンパク質をリガンドから分離して回収します。
表⾯を被覆しているポリGMAの性質により、タンパク質の⾮特異的な吸着が極めて少なく、標的タンパク質を⾼純度で精製できます。 また、遠⼼分離では回収されてしまう⼤きなタンパク質や変性したタンパク質などの影響がなく、標的タンパク質を回収できます。
ナノサイズのため体積に対しての表面積が大きく、また分散性も高いため、標的タンパク質が効率よく結合可能です。
各種有機溶媒※に耐性があり、有機溶媒中でFG beadsの変性や分解がなく、様々なリガンドを固定化することが可能です。
※メタノール、DMF、DMSO、THF、酢酸エチル、ピリジン、ジオキサン、トルエン、ジクロロメタン、クロロホルムなどが使⽤可能です。
各社の磁気ビーズへ同様な⽅法で抗がん剤メトトレキセート(MTX)を固定化し、アフィニティ精製を⾏いました。
FG beadsは他社の磁気ビーズと⽐較してタンパク質の⾮特異的吸着が少なく、MTXの標的タンパク質であるDHFRを⾼純度で精製することができました。詳細は資料をご参照ください。
リガンドに⽐べて標的タンパク質などの分⼦量が⼤きい場合や、標的タンパク質などの内部にリガンドとの結合部位がある場合には、⽴体障害によりアフィニティ精製の効率が著しく低下する可能性があります。
FG beadsの表⾯にはリンカーと呼ばれる分⼦の鎖を導⼊しています。(Plain beadsを除く)
リンカーを介してリガンドをFG beadsに固定化することで、この問題を回避することができます。
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